歯周病は、歯を支える歯茎や骨などの周囲組織が徐々に破壊されていく病気です。
自覚症状が少ないまま進行し、放置すると歯を失う原因にもなりかねません。
定期的なケアと適切な治療を行うことで、歯周病の進行を食い止め、より健康な口腔環境を維持することが可能です。
当院では、歯周病治療に力を入れ、歯や周囲組織をできる限り傷つけないアプローチを採用しています。
「ガリガリと大きく歯石を削り取る」ような痛みを伴う処置は避け、丁寧な手技とプラークコントロール(歯垢管理)を重視した治療で、患者様が安心して通える環境を整えています。
歯周病治療の基本的な考え方
歯周病は、歯と歯茎の境目に蓄積した細菌の塊であるプラーク(歯垢)と、その後硬化してできる歯石が大きな原因の一つです。
プラークは細菌の塊であり、これが歯茎に炎症を引き起こし、やがて歯を支える骨を溶かしていきます。
当院の歯周病治療では、「歯石を無理やり除去すること」をゴールとせず、「プラークコントロールによって、歯周病の進行を抑え、健康な状態を維持する」ことを重視しています。
歯石除去は必要な場合には丁寧に行いますが、その際もしみや痛みを極力抑え、歯と歯周組織に優しい手技を心がけています。
ガリガリと削らない、丁寧な歯石除去
一般的なイメージでは、歯石除去は「硬い器具で歯を削るような処置」と思われがちです。
しかし当院では、可能な限り歯や歯茎を傷つけない方針をとっています。
超音波スケーラーやパウダートリートメント(エアフロー)装置、キュレットスケーラーなどの機材を適切に使い分け、最小限の力で歯石を除去。
歯石除去後に歯がしみたり、知覚過敏が悪化しないよう配慮し、丁寧に仕上げます。
こうした細やかな配慮によって、患者様は痛みや不快感が少なく、より快適な治療体験を得ることができます。
医院の高い基準をクリアした知識と技術を習得している歯科衛生士
当院の歯科衛生士は歯や歯周組織への負担を最小限にした身体に負担の少ない、痛みに配慮したスウェーデンスタイルの歯周治療の技術と知識を習得しております。
プラークコントロールを重視したアプローチ
歯周病治療の鍵は毎日の歯磨きやフロスで歯の汚れをしっかり取り除く【プラークコントロール】と
歯科医院でのクリーニングなどでお口の中の細菌を減らす【インフェクションコントロール】をすることです。
プラークは日常的なブラッシングやフロス、歯間ブラシなどのホームケアで減らすことができます。
しかし、それだけでは不十分なケースもあるため、当院ではプロフェッショナルなケアや指導を組み合わせ、効果的なプラークコントロールを実現します。
| ホームケア指導 | 正しいブラッシング方法やフロス・歯間ブラシ・歯磨剤の選び方、使い方を患者様一人ひとりに合わせてご指導します。 |
|---|---|
| 定期的なメンテナンス | 治療後も定期的なクリーニングやチェックを行い、歯茎の炎症やプラークの再蓄積や歯周病の再発を未然に防ぎます。 |
こうした継続的なサポートを通じて、患者様自身が口腔健康をコントロールする力を身につけ、歯周病の進行を抑えることが可能になります。
口臭対策にもつながる歯周病治療
歯周病は、強い口臭の原因にもなります。
進行した歯周病では、歯周ポケット内で細菌が繁殖し、不快な臭いを放つことがあります。
当院の歯周病治療では、口臭対策としても有効な機材や手法を取り入れています。
| 口腔内カメラ | お口の中を拡大して撮影し、患者様にわかりやすく問題箇所を説明します。 |
|---|---|
| サリバテストキット(唾液分析) | 唾液を分析して口腔内の細菌バランスを把握し、口臭や歯周病リスクの傾向を客観的に示します。 |
| エアフロー装置(EMS社製エアフロープロフィラキシスマスター) | 歯面の汚れやバイオフィルムを細かなパウダー噴霧で除去し、歯茎に優しく、効率的なクリーニングを行います。 |
| 位相差顕微鏡 | 唾液やプラーク中の細菌を観察し、患者様に目で見える形で説明することで、モチベーションアップと口臭対策への意識向上を図ります。 |
これらの機材を組み合わせることで、原因を明確にし、適切なケアで口臭を軽減できるよう導いていきます。
当院が採用している機材
当院が歯周病治療で使用する機材は、患者様に優しく、効果的な処置を支えます。
| 超音波スケーラー(全てスイス製EMS社製を採用) | 細かい振動で歯石を効率的に除去しながら、歯面へのダメージを抑えます。 |
|---|---|
| 歯周ポケットプローブ | 歯周ポケットの深さを計測し、病状の進行度を把握します。 |
| デジタルX線 | 骨や歯周組織の状態を正確に確認し、治療計画立案に役立ちます。 |
| レーザー機器(炭酸ガスレーザーとEr:YAGレーザーを所有) | 特定のケースで利用することで、痛みや出血を抑えながら治癒を促進するる処置が可能です。 |
これらの機材とEMS社製エアフロープロフィラキシスマスターを組み合わせることで、患者様の負担を最小限にしつつ、歯周病治療を丁寧かつ効果的に行うことを目指しています。
正確な診断と一人ひとりにあわせた治療計画
歯周病は段階的に進行し、個々の患者様によって病状や原因が異なります。そのため、当院では正確な診断をもとに、個別化された治療計画を立てることを重視しています。
| 正確な診断 | 歯周ポケットの測定、デジタルX線撮影、口腔内カメラや位相差顕微鏡での細菌観察などを組み合わせ、歯周病の進行度を詳細に把握します。 |
|---|---|
| 一人ひとりにあわせた計画 | 患者様の症状、生活習慣、希望を踏まえ、プラークコントロールやクリーニング回数、手術的処置が必要かどうかなどを検討します。 |
この治療計画により、患者様は自分の状態を理解し、納得したうえで治療を進められます。
最小限の侵襲と長期的な口腔健康維持
当院の歯周病治療は、「最小限の侵襲」を大切にしています。
やさしく効果的な手技で歯茎や歯質へのダメージを抑え、痛みや出血を軽減します。
特に気をつけていることは、歯と骨を接着させているセメント質を傷つけないことです。従来の歯石除去ではセメント質を歯石とともに除去してしまい、歯を支えている歯槽骨を喪失してしまい歯茎が痩せて見た目も悪くなり、歯もしみやすくなるリスクがありました。
当院ではこのようなリスクを最小限に抑えた歯周治療で、患者様が不安や恐怖を感じることなく治療を受けることができやすくなります。
また、治療後は定期的なメンテナンスやクリーニングを行い、歯周病の再発を防ぎます。
プラークコントロールを中心に、患者様のホームケアをサポートすることで、長期的な口腔健康維持を実現します。
患者様との連携とコミュニケーション
歯周病治療は、患者様との二人三脚が不可欠です。 当院では、患者様が自らの状態を理解し、主体的にケアに取り組めるよう、十分な情報提供とコミュニケーションを行います。
| 丁寧な説明 | 難しい歯科用語ではなく、わかりやすい言葉で病状や治療計画を説明。歯周検査結果や口腔内写真、必要に応じて唾液分析結果や位相差顕微鏡の映像をお見せすることで、視覚的にも理解しやすくしています。 |
|---|---|
| ホームケア指導 | 正しいブラッシング方法やフロスの使い方を指導し、患者様自身が日常的にプラークコントロールできるようサポートします。 |
| 定期的なフォローアップ | 治療後も定期検診やクリーニングで経過を観察し、状況に応じてアドバイスやケアの見直しを行います。 |
予防で最も大切なことは「また通いたくなる」ことだと私どもは考えております。予防の成功は継続的なメンテナンスです。患者様がまた来たいと感じていただけるような治療とコミュニケーションをしています。
当院が目指す方向性
当院の歯周病治療は、「痛みや不安を減らす」「歯や歯肉を守る」「長期的な口腔健康を維持する」ことを目指しています。 そのために、プラークコントロールを重視し、歯への負担の大きい無理な歯石除去を避け、正確な診断に基づく個別化された治療を行います。
| 痛みや不快感の軽減 | 最小限の侵襲、丁寧な処置でストレスフリーな治療体験を提供。 |
|---|---|
| 長期的な健康維持 | 再発防止や予防的な取り組みによって、将来的に発生する大掛かりな治療を避けることが期待できます。助けになります。 |
| 口臭の軽減 | 清潔な口腔環境を整えることで、口臭トラブルの改善・防止に寄与します。 |
当院は、単なる一時的な問題解決ではなく、患者様が生涯にわたり自分の歯で噛み続けられるような口腔健康のサポートを目指します。
歯周病は、多くの方が気づかないうちに進行する病気ですが、適切なケアと治療でその進行を食い止めることができます。歯周病治療において、当院は丁寧な説明、痛みを抑えた処置、プラークコントロール重視、正確な診断ツールの活用、患者様とのコミュニケーション強化を軸に、安心できる歯科医療を提供します。
「自分の歯を長く守りたい」「治療の痛みや不安を減らしたい」「口臭を改善したい」という方は、ぜひ当院へご相談ください。歯や周囲組織を傷つけず、歯周病の本質的な改善を目指す治療を一緒に考え、健康的な口腔環境へと導きます。
歯周歯茎再生治療の基本方針
当院が目指す歯周歯茎再生治療は、「組織を極力傷つけない」「患者様の自然な治癒力を活用する」ことを基本としています。
歯茎が下がる主な原因は、歯周病、過度なブラッシング圧、歯列不正などさまざまです。
原因を正確に把握し、再生治療を行う前に問題点を整理します。
一度下がった歯茎を元の位置に戻すことは容易ではありませんが、歯周組織再生用バイオマテリアルなどを用いた手術によって、失われた組織を補うことが可能です。
当院では、患者様への負担を少なくするために、最小限の侵襲を重視。
痛みや出血を抑え、術後の回復をサポートすることで、心身ともに安心して治療を受けていただけます。
組織再生用バイオマテリアルの活用
歯茎の再生治療では、骨置換材料をはじめとする組織再生用バイオマテリアルを用いることがあります。
バイオマテリアルは、歯茎や骨が再生しやすい環境を整え、自然な組織の回復をサポートします。
骨量が不足している部位には、骨置換材料を填入して安定した土台を形成します。
これにより、歯茎のラインを改善し、歯と歯茎の調和を取り戻します。
再生材料は、治癒過程で患者様自身の組織と馴染み、やがて自然な歯周組織へと置き換わります。
レーザー機器を用いた優しい処置
当院では、必要に応じてレーザー機器を活用しています。
レーザーは痛みや出血を減らし、精密な切開や消毒に役立つため、歯茎再生治療においても有用な手段となります。
レーザーの特性を活かすことで、メスによる大きな切開を避け、組織にやさしい処置を行うことが可能です。
結果的に術後の腫れや痛みが軽減され、患者様が感じるストレスや不安が少なくなります。当院では炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)とヤグレーザー(Er:YAGレーザー)の2種類を症状に合わせて使い分けています。
一人ひとりに合わせた治療計画
歯茎の状態は人それぞれ異なります。
炎症の原因、進行度合い、生活習慣、他の歯周トラブルなど、一つとして同じケースはありません。
当院では、治療に先立ち、歯周ポケットの深さや歯肉の厚み、骨の状態、身体の健康状態、生活習慣などを正確に把握します。
口腔内カメラやレントゲン、場合によってはサリバテストキット(唾液分析)や位相差顕微鏡なども活用して、歯周環境を細かくチェックします。
こうして得られた情報をもとに、患者様ごとにオーダーメイドの治療計画を立案。
必要ならば歯周病治療や矯正治療と組み合わせることで、全体的な口腔健康を改善し、歯周治療歯茎再生をより効果的なものにします。
歯周治療と全身との関連
歯周病にかかると全身の健康にも影響を及ぼします。歯周病は生活習慣病です。歯周病は糖尿病、心疾患、脳梗塞、肺炎、早産、骨粗鬆症、関節炎や糸球体腎炎などさまざまな病気と関連していることが判明しています。
歯周病はただ歯がなくなる病気ではなく、身体全体にも影響を与えてしまう、血管を通して細菌を全身に撒き散らすリスクのある病気です。
歯周病をしっかりと治療することで、身体も健康に導くことができます。

